Whatever the Weather II

Whatever the Weatherによる「Whatever the Weather II」(2025) Dark Green Vinyl LP です。

過去わずか5年ほどの間に、ロンドン拠点のLoraine Jamesは、洗練された作曲力、荒々しい実験性、そして予測不可能かつ精緻なエレクトロニック・プログラミングによって、その独自の音楽的アイデンティティを確立してきました。本名名義でリリースされるHyperdubからの作品は、IDMの影響を受けたボーカル重視のコラボレーションが中心ですが、「Whatever The Weather」という別名義では、より印象的で内省的な作品を展開しています。

James は、それぞれの楽曲を制作時の「感情的温度」によって命名しましたが、後に聴き返すと全く違う温度に感じられることもあると言います。それもまた、環境の気まぐれさゆえでしょう。前作の南極的イメージに比べて、『II』は明らかに温かさを感じさせます。その象徴ともいえるのが、Collin Hughes が撮影した砂漠の風景を用いたジャケット写真と、Justin Hunt Sloane によるパッケージデザインです。両作に共通するのは、Telefon Tel Aviv 名義でも知られる友人 Josh Eustis によるマスタリングであり、James の複雑な音作りに三次元的な奥行きを与えています。