TOO MUCHが今回取り上げるスキーマの活動は、これまでの建築家のゴールとは根本的に異なっているように見えます。彼らのデザインする建築や商業空間はどれも控えめで、完成形がどこなのかわからず、利用者を統制するよりも利用者に使い方を委ねる。主宰する長坂は、そうした空間のあり方を「多人称的空間」と呼んでいます。
魅力的な都市とは、大資本や行政、また誰かひとりの奇抜なアイデアが作るのではなく、個人の豊かな都市体験が集まって形成されると信じるTOO MUCH Magazineは、「多人称的な空間」を標榜するスキーマの活動が、これからの建築家のあるべき姿の一例を見せてくれていると考えます。