Spilla / Ensemble Nist-Nah

Ensemble Nist-Nahによる「Spilla」LP（2025）です。

オーストラリア出身のドラマー／パーカッショニストWill Guthrieが2019年に結成したプロジェクトです。

今作では2つの異なる編成のグループが片面ずつを担当し、メンバーの作曲的な貢献もより顕著になっています。両面には、Guthrie以外のメンバーが書いた楽曲がそれぞれ1曲ずつ収録されています。

このことからも明らかなように、Ensemble Nist-Nahは、ヨーロッパにおける“ガムラン・アンサンブルの再現”を目指しているのではなく、ジャワのガムラン楽器と他の打楽器を用いて、東南アジアの音楽的影響からフリージャズや現代ヒップホップに至るまでを融合した、独自のハイブリッドな打楽器音楽を奏でる集団であると言えます。

過去作『Nist-Nah』や『Elders』では伝統的なジャワの楽曲も含まれていましたが、本作『Spilla』で唯一、グループ外の作曲による楽曲は、Guthrieが長年敬愛し、ときに共演もしてきたRoscoe Mitchellの作品のみです。

ガムランはありのままでいいというセッション、空間を創る音楽と言う認識でいくと、Ensemble Nist-Nahによるこの作品はただの再現でなく新たな音楽だと感じます。Charles Dubois（コアメンバー）によるシンバルやゴングの手描きイラストがあしらわれたジャケットもキノコみたいでkawaiiです(Ammel)。