Japanese Samurai Fashion エバレット・ケネディ・ブラウン 写真集

湿版光画家 Everett Kennedy Brownによる「Japanese Samurai Fashion」(2017)です。

本作『Japanese Samurai Fashion』のシリーズは、福島県相馬地方で約800年に渡り伝承されてきた祭礼「野馬追」(のまおい)に取材したものです。

地元の人々が馬に乗り、神旗を奪い合う。 エバレット・ケネディ・ブラウンは、旧相馬中村藩主家34代当主・相馬行胤(みちたね)氏をはじめ、44名のポートレートを湿板光画で撮影しました。代々受け継がれてきた武家の装束に身を包み、露光時間10秒のカメラと向かい合う人物像は、時空を超越するかのような魂を宿しています。 一転してカラー写真では、約100名の袴の足もとを撮影しました。様々な文様と色彩の組み合わせには、祭礼のもつ呪術性と祝祭性、そして他と競うような高度な技巧が凝縮されています。

中国や韓国のみならず、東南アジアやアフリカの影響を窺わせる布は、服飾文化の貴重な資料となるでしょう。 さらに、カラー写真を反転し、また反復するなど、「野馬追」の歴史や真髄を作家独自の手法で表わす展開も注目です。

本書は、湿板光画とデジタル写真という時代的に隔たりのある技法を自在に用い、「侘び寂び」と「ハレ」とが共存する日本文化への視点を鮮やかに伝えるものです。そこには、祭礼と服飾と人との深い関わりが息づき、伝統と革新が共存するような一書となります。

260×260mm｜110pages｜Hard cover