フィールド・レコーディング入門
フィールド・レコーディング入門
柳沢英輔による「フィールド・レコーディング入門」(2022)です。
2000年代以降、小型軽量で廉価なデジタル・レコーダーの登場、そしてSNSの台頭により、フィールド・レコーディングという言葉を目にする機会がますます増えてきました。とくに昨今は新型コロナウイルスの状況下において、「音」や「聴くこと」について人々の関心が高まりつつあります。
フィールド・レコーディングは、現代音楽やサウンド・アートの文脈、60年代末からつづくサウンドスケープと環境音楽、90年代では音響派ブームのなかで取り上げられる機会の多かった音楽ジャンルであると同時に、人類学・民族音楽学などの学術の領域での研究手法として、そして電車や野鳥の録音をするような趣味としても広くおこなわれてきたものです。
しかし、こうした文脈をまとまった形で取り上げ解説される機会は多くはありませんでした。
フィールド・レコーディングには響きとしての音楽的な面白さだけでなく、その音が生じる場所の歴史や生態環境、録音者の視点といった文脈が深く結びついています。
本書は、こうしたフィールド・レコーディングが歩んできた様々な文脈を統合したうえで、その全体像を捉え直し、歴史、理論、実践方法を1冊で知ることができる内容となっています。現在的な視点からフィールド・レコーディングを網羅的に紹介し、そのすべてが理解できる国内で初めての1冊です。
第二章では「環境の響きを撮る」ということで、「環境」という単語が出ています。京都ではAMBIENT KYOTOが開催されるようになり、アンビエントミュージック・環境音楽が再燃しています。しかし、ブライアンイーノが生み出し、定義したアンビエントと現在世に溢れているアンビエントと呼ばれているものはまた印象が変わってきています。今だからこそ、フィールドレコーディングの観点から再解釈していくのもいいかもしれませrん(Ammel)