Edmondson's Music

lecteur < > liseurではアーティスト達の想いや背景を、時には本人達の言葉も借りて紹介し、より一層深く知ることでリスニング以外の趣を感じ取って頂けると幸いです。今回はニューカッスル出身のEdmondsonの音楽を紹介します。

 

『Linhope』(2020)

 

「Linhope」はedmondson氏と長年親交のあるPractitoner氏との合作になってます。コロナが流行り始め激動の最中であった2020年にリリースされた本EPはベルリンのカルチャーシーンにおいて微かな、しかし確かな灯火になったことは間違いない一枚です。

…以上の紹介文は

①コロナ禍である2020年のリリース 

②コロナによるベルリンでのクラブ閉鎖 

③タイトルにhopeの文字が入っている 

④Practionerとの合作 

という断片的な情報から組み上げた私の想像の話でした。アンビエント要素の曲もあり、聴いていてとても心地いいのがリリース当時の世界を考えると、いい意味でアンマッチしていると感じたのも影響しています。しかし、実際のところはどうなのだろうと気になり、Edmondson氏本人にEPの解説をして頂きました。

 

Edmondson「Linhopeは、私が育った場所の近くにあるノーサンブリアの自然な滝であるLinhope Spoutから来ています。私の音楽にはいつもノスタルジアとエスケープがたくさんあり、Linhopeは私の心の中で穏やかで無邪気な場所を占めているので、(特にPersian Palacesにとって)良いマッチだと感じました。実際、このEPを名付けて完成させたのは、コロナが起こる前で、その後の展開を全く予想していませんでした!私とPractitionerは、同じ地域(ニューカッスル・アポン・タイン)出身であり、ベルリンでも近くに住んでいました。」

 

実際はコロナ禍に入る前に完成されたEPであり、私の想像とはまるで違っていました。しかし、それでもLinhopeの音が砂漠の中のオアシスのようなイメージをもたらしたのは、純粋なノスタルジアとエスケープで構成されていたからでした。そして、次にリリースされたEPではまた印象がガラッと変わります。

 

『New forest Mysticism』(2022)

 

収録曲「Think Back」は緊張感のあるベースフレーズが繰り返され、柔らかいドローン音に絡みつく低音とパーカッションが幽玄さをかもしだす「New Forest Mysticism」、「All Dressed Up & Going Nowhere」のノスタルジアというよりは悲壮さをかんじさせるシンセが印象的です。そして「Y2K Glow Mix」は今までの固さを親しみのあるピアノのコード進行がときほぐし、疾走感と爽やかさをもってEPを締めくくります。Linhopeとは異なるテーマを持っていそうな『New forest Mysticism』は2022年リリース。やはりコロナ禍の「着飾ってもどこにも行けない」暗澹たる想いがあったのでしょうか。こちらもEdmondson氏の解説を「All Dressed Up & Going Nowhere」を中心に頂戴しました。

 

Edmondson「All Dressed Up & Going Nowhereは、2回目のコロナ封鎖期間中に書かれました。その時点で私は南フランスの田舎に住んでおり、仕事を失ってしまい、すべてが閉鎖されていたため新しい仕事を見つけることができず、一日中何もせずに服を着て起きる日常に囚われていました。私の人生のその時期の感情に合っただけでなく、その名前は、1971年のニューカッスルのギャングについてのこのドキュメンタリーの名前でもあります。」

 

All Dressed Up & Going Nowhere」は自身の境遇と故郷のニューカッスルに関連したドキュメンタリーのダブルミーニングでしたが、辛い時でもEdmondsonの根底にはノスタルジア、出身地のニューカッスルへの想いが一貫してあるのがうかがえます。その要素を歌詞のない音楽に昇華させている点も非常に興味深く、背景を知ることでリスニングを楽しむだけでなく勇気づけられます。

ちなみに、このドキュメンタリーはYoutubeにアップされているので、ご興味の湧いた方は覗いてみてください。一部非常に聞き取りにくいインタビューがありますが、ジョーディー(ニューカッスルに住む人々のこと)の英語のアクセントは非常に分かりづらいらしいです。そしてジョーディー達は地元愛に溢れているそうな。Edmondsonのルーツ、ノスタルジーとエスケープはここからきているのかもしれません。

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